Ⅰ.基本知識の学習…10時間
1.介護の基本的な考え方
○理論に基づく介護(ICFの視点に基づく生活支援、我流介護の排除)、
○法的根拠に基づく介護
2.介護に関するこころのしくみの基礎的理解
○学習と記憶の基礎知識、○感情と意欲の基礎知識、○自己概念と生きがい、○老化や障害を受け入れる適応行動とその阻害要因、○こころの持ち方が行動に与える影響、
○からだの状態がこころに与える影響
3.介護に関するからだのしくみの基礎的理解
○人体の各部の名称と動きに関する基礎知識、○骨・関節・筋に関する基礎知識、ボディメカニクスの活用、○中枢神経系と体性神経に関する基礎知識、○自律神経と内部器官に関する基礎知識、○こころとからだを一体的に捉える、○利用者の様子の普段との違いに気づく視点
Ⅱ.生活支援技術の学習…54時間
4.生活と家事
家事と生活の理解、家事援助に関する基礎的知識と生活支援。介護食調理実習を行う
○生活歴、○自立支援、○予防的な対応、○主体性・能動性を引き出す、○多様な生活習慣、○価値観
5.快適な居住環境整備と介護
快適な居住環境に関する基礎知識、高齢者・障害者特有の居住環境整備と福祉用具に
関する留意点と支援方法
○家庭内に多い事故、○バリアフリー、○住宅改修、○福祉用具貸与
6.整容に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護
整容に関する基礎知識、整容の支援技術
○身体状況に合わせた衣服の選択、着脱、○身じたく、○整容行動、○洗面の意義・効果
7.移動・移乗に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護
移動・移乗に関する基礎知識、さまざまな移動・移乗に関する用具とその活用方法、利用者、介助者にとって負担の少ない移動・移乗を阻害するこころとからだの要因の理解と支援方法、移動と社会参加の留意点と支援
○利用者と介護者の双方が安全で安楽な方法、○利用者の自然な動きの活用、○残存能力の活用・自立支援、○重心・重力の働きの理解、○ボディメカニクスの基本原理、○移乗介助の具体的な方法(車いすへの移乗の具体的な方法、全面介助でのベッド・車いす間の移乗、全面介助での車いす・洋式トイレ間の移乗)、○移動介助(車いす・歩行器・つえ等)、○褥瘡予防、○車イスでの介護タクシーへの乗降
8.食事に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護
食事に関する基礎知識、食事環境の整備・食事に関連した用具・食器の活用方法と食事形態とからだのしくみ、楽しい食事を阻害するこころとからだの要因の理解と支援方法、食事と社会参加の留意点と支援
○食事をする意味、○食事のケアに対する介護者の意識、○低栄養の弊害、○脱水の弊害、○食事と姿勢、○咀嚼・嚥下のメカニズム、○空腹感、○満腹感、○好み、○食事の環境整備(時間・場所等)、○食事に関した福祉用具の活用と介助方法、○口腔ケアの定義、○誤嚥性肺炎の予防 〇アイマスクを使用しての視覚障害者への食事介助演習
9.入浴、清潔保持に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護
入浴、清潔保持に関連した基礎知識、さまざまな入浴用具と整容用具の活用方法、楽しい入浴を阻害するこころとからだの要因の理解と支援方法
○羞恥心や遠慮への配慮、○体調の確認、○全身清拭(身体状況の確認、室内環境の調整、使用物品の準備と使用方法、全身の拭き方、身体の支え方)、○目・鼻腔・耳・爪の清潔方法、○陰部清浄(臥床状態での方法)、○足浴・手浴・洗髪(受講生全員が体験する)
○浴槽を持込んでの「入浴」演習
10.排泄に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護
排泄に関する基礎知識、さまざまな排泄環境整備と排泄用具の活用方法、爽快な排泄を阻害するこころとからだの要因の理解と支援方法
○排泄とは、○身体面(生理面)での意味、○心理面での意味、○社会的な意味、○プライド・羞恥心、○プライバシーの確保、○おむつは最後の手段/おむつ使用の弊害、○排泄障害が日常生活上に及ぼす影響、○排泄ケアを受けることで生じる心理的な負担・尊厳や生きる意欲との関連、○一部介助を要する利用者のトイレ介助の具体的方法、○便秘の
予防(水分の摂取量保持、食事内容の工夫/繊維質の食物を多く取り入れる、腹部マッサージ)
11.睡眠に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護
睡眠に関する基礎知識、さまざまな睡眠環境と用具の活用方法、快い睡眠を阻害するこころとからだの要因の理解と支援方法
○安眠のための介護の工夫、○環境の整備(温度や湿度、光、音、よく眠るための寝室)、○安楽な姿勢・褥瘡予防
12.死にゆく人に関連したこころとからだのしくみと終末期介護
終末期に関する基礎知識とこころとからだのしくみ、生から死への過程、「死」に向き合うこころの理解、苦痛の少ない死への支援
○終末期ケアとは、○高齢者の死に至る過程(高齢者の自然死(老衰)、癌死)、○臨終が近づいたときの兆候と介護、○介護従事者の基本的態度、○多職種間の情報共有の必要性
※「Ⅱ.生活支援技術の学習」においては、総時間の概ね5~6割を技術演習にあて、その他の時間は、個々の技術に関連したこころとからだのしくみ等の根拠の学習及び技術についての講義とする。
Ⅲ.生活支援技術演習…12時間
13.介護過程の基礎的理解
○介護過程の目的・意義・展開、○介護過程とチームアプローチ
14.総合生活支援技術演習
(事例による展開)
生活の各場面での介護について、ある状態像の利用者を想定し、一連の生活支援を提供する流れの理解と技術の習得、利用者の心身の状況にあわせた介護を提供する視点の習得を目指す。
○事例の提示→こころとからだの力が発揮できない要因の分析→適切な支援技術の検討→支援技術演習→支援技術の課題(1事例1.5時間程度で上のサイクルを実施する)
○事例は高齢(要支援2程度、認知症、片麻痺、座位保持不可)から2事例を選択して実施
※本科目の6~11の内容にても、「14.総合生活支援技術演習」で選択する高齢の2事例と同じ事例を共通して用い、その支援技術を適用する考え方の理解と技術の習得を促す。
※本科目の6~11の内容における各技術の演習及び「14.総合生活支援技術演習」にては、一連の演習を通して受講者の技術度合いの評価(介護技術を適用する各手順のチェックリスト形式による確認等)を行う。